「地震への意識と対策についての調査」
―自宅で過ごす時間が長くなる今こそ、地震への備えが必要―
株式会社住環境研究所
積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:神𠮷利幸)の調査研究機関である株式会社住環境研究所(所長:古谷知彦、千代田区神田須田町1-1)は、このほど「地震への意識と対策についての調査」を実施し、結果をまとめましたのでお知らせします。 東日本大震災から9年が経過し、この間も熊本地震を始めとする多くの地震が発生しています。また新型コロナウィルスが収束しない中、改めて災害時の備え、避難を見直す動きも出てきています。 住環境研究所では2019年に“被災経験がある方”を対象とした調査を実施し、ライフライン遮断にも備える住まいの必要性を確認しました。今回は、災害時における「自助・共助・公助」の考え方において、「自助に重点を置く」と回答する割合が、平成25年の21.7%から平成29年には39.8%(防災に関する世論調査:防災白書:平成30年)まで増えていることに着目し、被災経験を問わず5,000人を対象に“自分”は地震被害に遭いそうか、対策の必要意識及び実施済みかという点について、年代、性別での違いから“自分ごと”度合を明らかにするべく調査しました。
■調査結果のポイント
1.『自分は地震被害に遭いそうか』…半数以上が被害に遭う確率は“低い”と回答
地震への意識は、関東や関西圏では高め、北海道や九州・沖縄では低めの傾向
地震被害に遭う確率は「2割以下」と回答した人が52%と半数を占め、地震被害への意識が低いことが判明。居住地域によっても地震への警戒感に差があることがわかりました。
自分への被害確率“ゼロ”は“若い年代”に多い
地震被害に遭う確率は「0割」と回答した人は男性10~30代では20%を超え、女性10~30代では15~19%と、40~70代よりも多いことが明らかになりました。
2.『対策の必要意識』…「食料」「停電」「断水」が上位。全項目で若年層ほど意識は低い
男性女性ともに、年齢が下がるほど対策の必要意識が低い
男性20代では、「特に対策を必要と考える事象はない」と回答した人が約3割を占めました。
3.『実施済みの対策』…備蓄以外の“対策実施率”は、全年代でも半数以下と低い
特に若年層で実施されていない
男女ともに若年層(20~30代)では備蓄以外の項目で、対策実施率は3割を下回りました。
男性20代30代では「特に災害対策は実施していない」と回答した人は約4割を占めました。
調査結果のポイント
地震への意識と対策についての調査
- 調査対象
- 15歳~79歳 男女
- 調査エリア
- 全国47都道府県
- 調査手法
- インターネット定量調査
- 調査時期
- 2020年3月13日~3月17日
- サンプル数
- 5,000件 年代×エリア別 人口構成比割付
※グラフの構成比は小数点以下を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100 とはなりません
調査結果の概要
1. 『自分は地震被害に遭いそうか』…半数以上が被害に遭う確率は“低い”と回答
地震への意識は、関東や関西圏では高め、北海道や九州・沖縄では低めの傾向
今後10年以内に、自分が住む地域で「震度5以上」の強い地震が起きて被害を受けそうな確率がどのくらいかを質問したところ、「2割以下」と回答した人が全体の52%と半数以上を占めました。なかでも、自分は“地震被害に遭わない”と考える「0割」の層が全体の15%でした。
地域別では、北海道・東北、九州・沖縄では地震に対する警戒感がやや低く、関東・中部・近畿・中国・四国エリアでは警戒感が高い傾向が見られました。関東や近畿・関西などでは、近い将来に首都直下地震や南海トラフ地震が起こる確率が高いと度々報じられる影響から、関心が増しているのではないかと推測されます。
自分への被害確率“ゼロ”は“若い年代”に多い
地震被害に遭う確率は「0割」と回答した人は男性10~30代では20%を超え、女性10~30代では15~19%と、40~70代よりも多いことがわかりました。
2. 『対策の必要意識』…「食料」「停電」「断水」が上位。全項目で若年層ほど意識は低い
男性女性ともに、年齢が下がるほど対策の必要意識が低い
自分で行う地震対策で必要な項目を聞いたところ、「食料品、飲料、日用品の不足」や、「停電」「断水、下水道の機能停止」といったライフラインへの備えが上位にあがりました。また、地震時のケガの原因となる「家具や調度品の倒壊・破損」への対処ついても、必要性を感じている人が多いことがわかりました。さらに、昨今では災害時の情報収集の重要度も増しており、「電話・インターネットの遮断」といった情報インフラ対策への意識も相当数見受けられました。
年代別の傾向では、男性は、各項目とも年齢が下がるほど必要性を感じる人が少なくなり、女性では40代~70代が平均的に意識の高い人が多く、20~30代と比べると顕著な差が見られました。また「特に対策が必要と考える事象はない」という回答は男性20代:29%、女性20代:22%という結果となりました。
3.『実施済みの対策』・・・備蓄以外の“対策実施率”は、全年代でも半数以下と低い
特に若年層で実施されていない
すでに実施済みの地震対策について聞いたところ、「食料品、飲料、日用品の備蓄」がもっとも多く、次いで「家具や調度品の固定や補強」「停電時の電源確保」「緊急時の家族内の安否連絡経路の確保」の順でした。
全年代で、備蓄以外の項目における対策実施率は50%を下回り、対策がなされてない人の方が多いことがわかりました。
年代別では、年齢が下がるほど対策実施率が低くなる傾向が見られ、若年層(20~30代)では備蓄以外の項目における対策実施率が30%を下回り、「特に災害対策は実施していない」という回答では男性20代:40%、男性30代:39%。女性20代:38%という結果となりました。
調査結果に関する見解
今回の調査結果から、地震で被害に遭う確率は低いと考える人は多く、特に若年層において確率が低いと回答しており、「自分ごとではない」として捉える傾向が見受けられました。また、地震への備えでは、年齢によるバラツキはありますが、全体としてはまだ不十分であるという印象を受けました。40代以上は「対策をしっかり行っているため、被害に遭う確率は少ない」と考える人も、一定数以上いるのではないかと推察されます。一方、20~30代の若年層は、対策の必要意識とその実施率が低く「特に備えはしていないけど、自分は被害に合わないから大丈夫」「他人ごと」「他人まかせ」にしていることが考えられます。
新型コロナウィルスが収束しない中でも地震をはじめとする災害は起こり得ます。今後は在宅勤務などにより自宅で過ごす時間が長くなることと、一旦災害が発生すれば避難所では“三密による感染リスク”などがあることから、今まで以上に「自宅での災害時の備え」について再確認する必要が生じています。
地震への備えは、日々の暮らしの中で今すぐできることも多くあります。性別・年代を問わず、誰もが地震災害に遭う可能性を「自分ごと」と捉え、備えを意識し、実際に対策を実施していくことが大切です。