
大規模複合型スマートタウンの住民調査を実施。利便性と生活環境が満足度上位に。レジリエンス・防犯は今後の必須アイテム
株式会社住環境研究所
積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:吉田匡秀)の調査研究機関である株式会社住環境研究所(東京都千代田区、所長:太田真人)は、このほど積水化学工業株式会社初の大規模複合型スマートタウンである『あさかリードタウン』(埼玉県朝霞市)で住民調査を実施しました。その結果をまとめましたのでお知らせします。
『あさかリードタウン』(以下タウン)は、「安心・安全で、環境にやさしく、持続可能なまち」をコンセプトとして、全130戸の戸建て住宅、全212邸の分譲マンション、くみまちモールあさか(スーパーマーケット、ホームセンター、複数のクリニック、薬局、フードコートなど)、3つの公園、2つの保育園などから構成されており、完成から5年余りが経過しました。
これを機に、全世帯を対象にまちや住まいの満足度やその内容、施設や機能の利用状況などについてのアンケート調査を実施し、その結果、まちづくりにおいて留意すべき点や、「戸建てエリア」、「マンションエリア」それぞれにおいて、住民の関心が高い要素が明らかとなりました。
今回の調査で得られた情報は、積水化学工業株式会社が今後行う新たなまちづくり(スマートタウン)の開発に役立てていきます。
調査結果のポイント
1.利便性と生活環境が満足度の上位項目に
- ・まちの満足度の上位項目5つは、利便性と生活環境
- ・利便性は、「買い物がしやすい」(82%・1位)と「医療施設がある」(51%・4位)
- ・生活環境は、「まちの中がきれい」(60%・2位)、「公園がある」(55%・3位)、「周辺の環境が良い」(44%・5位)
2.戸建てエリアで関心が高い項目はレジリエンスと防犯
- ・住まいの満足度の上位項目は、生活環境と意匠・プランニング、スマート・安心安全
- ・戸建てエリアでは、「太陽光発電と蓄電池」と「防犯性」が上位項目に
- ・マンションエリアでは、生活環境と意匠・プランニングが上位項目に
3.シェアモビリティサービスの利用率は高い
- ・タウン内に3か所あるシェアサイクルの利用率は80%と機能性を発揮
- ・デマンド乗り合いサービスも2/3が利用、活用を増やしたい要望も
調査概要
あさかリードタウンに関する調査
- 調査対象
- あさかリードタウン内にお住まいの全世帯(戸建て約130+マンション約210)
- 調査方法
- 記入式アンケート、全46問、郵送での返信
- 調査時期
- 2024年11月25日~2024年12月17日(最終回収日)
- 回収数
- 190(回収率:約56%、うち戸建て 約72%、マンション 約46%)
- 調査目的
- まちや住まいの満足度とその内容、施設や機能の利用状況、今後の要望の聞き取り
- 補足調査
- 住民グループインタビュー(2025年2月1日実施)
調査結果
1.利便性と生活環境が満足度の上位項目に
「まちで満足している点は?」という質問に対し、15項目から複数回答をしてもらった結果、1位
「買い物がしやすい」、2位「まちの中がきれい」、3位「公園がある」、4位「医療施設がある」、5位「周辺の環境が良い」でした。これをカテゴリーで分けると、1位と4位は利用率がほぼ100%のくみまちモールあさかの「利便性」、2位、3位、5位は行き届いた清掃や、利用率82%の3つの公園の「生活環境」という2つに集中していました。1位から4位までの項目は、言い換えるとランドスケープデザインと管理システムになります。
82%の圧倒的な支持を得た「買い物がしやすい」は、くみまちモールあさか内にスーパーマーケットやホームセンターがあり、そこで日々の買い物が完結できることに起因しています。また、4位の「医療施設がある」は、同施設内に小児科、内科、歯科、整形外科、皮膚科と薬局があり、病気の際に複数の科の受診ができる安心感が高い支持を得たと考えられます。

2.戸建てエリアで関心が高い項目はレジリエンスと防犯
「住まいで満足している点は?」という質問に対し、19項目から複数回答をしてもらった結果、1位「日当り」、2位「間取り・広さ」、3位「遮音性」、4位「外観・デザイン」、5位「太陽光発電や蓄電池」
でした。これらをカテゴリーで分けると、1位と3位は「生活環境」、2位と4位は「意匠・プランニング」、5位は「スマート・安心安全(レジリエンス+防犯)」となります。
戸建て・マンション別に見ると、戸建ての1位と3位は「スマート・安心安全(レジリエンス+防犯)」の「太陽光発電や蓄電池」と「防犯性」(同数で「日当り」)でした。「太陽光発電や蓄電池」は、快適・便利で地球環境にやさしい「スマート」と、災害にも強い「レジリエンス」を有していることが評価され、また、「防犯性」は、昨今多発している凶悪犯罪への関心の高さや不安感から、IoTを活用したNiSUMU*アプリやスマート街灯の防犯対策などが評価されたと考えられます。
マンションでは、1位「日当り」、2位「外観・デザイン」、3位「遮音性」でした。1位と3位はマンションに求められる基本的な生活環境・住性能であるのに対し、2位の「外観・デザイン」については、「エントランスと周辺のライティングが良い」「建物デザインが高級感を醸し出している」といった声が多く上がっていました。


3.シェアモビリティサービスの利用率は高い
タウン内のシェアモビリティサービスの利用状況は、3か所に設置しているシェアサイクルが80%、24時間乗車予約が可能なデマンド乗り合いサービスが66%で、いずれもその機能性を発揮していました。デマンド乗り合いサービスについては、住民から行き先の複数化や営業日を増やす要望もあり、そのことからも存在の重要性が伺えました。

* (株)Secualと積水化学工業(株)が共同開発したスマートタウン向け統合サービス。対象機器やOS等に制限があります。
■あさかリードタウン

■アンケート調査結果に関する見解
「日々の買い物」と「複数の医療施設」の近接性は、居住後の満足度や、高齢期でも生活がしやすいか否かに直結するため、今後複合型スマートタウンはもとより、小規模な分譲地を計画する際も、その条件が充足できているかを最初に確認する必要があると推察されます。
また、公園の近接性は、子育て世代にとっては、気軽に子どもを遊ばせる場であり、高齢者を含めた他の世代にとっては、心が癒される場となります。このようなサードプレイスがあることで、世代を超えた、あるいはタウン外の住民とのコミュニケーションが形成される可能性も広がります。
各地で頻発しているゲリラ豪雨や、今後も発生が予想される大規模地震、そして現在社会問題となっている強盗事件の多発などを考えたとき、戸建てエリアだけに留まらず、まち全体のレジリエンス性と防犯性を高める安心設計が今後必須の要素であると言えます。
この件に関するお問い合わせは下記までお願いします
〒101-0047 東京都千代田区内神田1-14-10 PMO内神田9階
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担当:古谷(ふるや)
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