住まいの災害対策、ライフライン途絶に対する備えが重要! 「セキスイハイム暮らしと住まい調査<自然災害編>」より
―非常時のライフライン確保をより強く意識する災害経験者~「セキスイハイム暮らしと住まい調査<自然災害編>」より―
株式会社住環境研究所
積水化学工業株式会社 住宅カンパニー(プレジデント:関口俊一)の調査研究機関である株式会社 住環境研究所(所長:小池裕人 千代田区神田須田町1-1)は、全国のセキスイハイムにお住まいのお客様 を対象とした「暮らしと住まい調査」を行いました。その中で、自然災害の被災経験や災害対策の実施 状況などについてたずねた結果<自然災害編>を取りまとめましたので、概要をご報告いたします。
■調査トピックス
1.被災後、平常時の生活に戻るまでの期間、“地震被災あり”は半数以上が「10 日超」
最多期間は「2 週間超~1 ヶ月(23%)」
2.被災後、苦労したこと、“地震被災あり”は「エネルギー・水などのライフライン関連」が上位に
1 位「ガソリン・灯油の入手困難(54%)、2 位「水の入手困難(48%)」、3 位「自宅で 3 日以上、入浴ができない(43%)、4 位「自宅の水洗トイレが使えない(38%)
3.“地震被災あり”と“なし”で対策実施率の差が大きい「風呂の水のためおき」
「風呂の水のためおき」実施率 被災経験なし17%、地震被災あり35%(+18 ポイント)
4.“地震被災あり”は「ガソリン・灯油のストックをもつ」必要性を感じる割合が高い
現在できていないが取組むべきと思う災害対策「ガソリン・灯油の予備ストックをもつ」 被災経験なし11%、地震被災あり18%(+7 ポイント)
5.『太陽光発電搭載』住宅は、地震被災後のエネルギーにからむ苦労を軽減
①被災後、苦労したこと「ガソリン・灯油の入手困難」 住み始めた時に『太陽光発電 未搭載』57%、『太陽光発電 搭載』49%(-8 ポイント)
②被災後、苦労したこと「寒い時期なのに、暖房機器が使えない」 住み始めた時に『太陽光発電 未搭載』29%、『太陽光発電 搭載』18%(-11 ポイント)
6.“地震被災あり”は『太陽光発電』『エコキュート・電気温水器(貯水タンクのある給湯器)』の 後付け設置率が高い
住み始めた時は未搭載だったが、後から設置したという後付け設置率について、
①『太陽光発電』は、被災経験なし14%、地震被災あり24%(+10 ポイント)
②『エコキュート・電気温水器』は、被災経験なし15%、地震被災あり29%(+14 ポイント)
■調査の背景
住宅の耐震性、耐火性をはじめとする耐災害性能は向上しており、大規模災害が発生した場合も、 身の安全が確保できる場合は、自宅での待避が推奨されています。しかし、現在、被害予測がされて いる大規模地震により、社会インフラが機能しないほどのダメージを受けた時、住まいは倒壊せずに 住み続けられるだけではなく、インフラ復旧までの間、住まい手の負担を軽減できる機能を持つ必要 がある、と考えられます。そのような観点から、これからの耐災害住宅のあり方を考える一歩として、本調査を実施しました。
■調査概要
- 調査目的
- 自然災害の被災経験、被災時の困りごと、実施している災害対策を把握し、 被災後負担軽減のための住計画ポイントを探る
- 調査対象
- 1972 年~2017 年に建築されたセキスイハイムに居住する
(1) 世帯主またはその配偶者
(2)(1)と同居する既婚の子またはその配偶者
一邸につき、(1)または(2)に該当する1名が回答 - 調査エリア
- 沖縄県を除く全国
- 調査方法
- インターネット調査
- 調査時期
- 2017 年12 月
- 有効回答
- 4,369 件
【回答者属性】
【現住まいにおける自然災害の被災経験】
Q.現在の住まいに住み始めてからこれまでに、自然災害によって建物や家財、人的被害を受けたことは ありますか。それはどの災害ですか。
■調査結果の概要
1.被災後、平常時の生活に戻るまでの期間、“地震被災あり”は半数以上が「10 日超」
自然災害に被災したあと、平常時の生活に戻るまでにかかった期間をたずねました。阪神・ 淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの大規模地震を今の住まいで経験した層は、半数を 上回る55%が「10 日を超える期間」と答え、他の自然災害後の38%と比べ、より日数がかか る割合が高くなっていました。中でも「2 週間超~1 ヶ月」が23%と最多となっていました。
2.被災後、苦労したこと、“地震被災あり”は「エネルギー、水などのライフライン関連」が上位に
地震被災後、苦労したことでは、1 位「ガソリン・灯油の入手困難(54%)」、2 位「水の入手困難 (48%)」、3 位「自宅で3日以上、入浴ができない(43%)」、4 位「自宅の水洗トイレが使えない(38%)」 とエネルギー、水などのライフラインに関わることが上位を占めました。東日本大震災では、3/20 時点の東北3県におけるガソリンスタンド稼働率が約53%、断水は19 県で発生し、3/16 時点で180 万戸が水の供給を絶たれました。(平成23 年7 月14 日内閣府発表)台風、豪雨など他の自然災害後と比 べて、ライフラインの途絶で苦労する人が多いのが、地震被災の特徴といえそうです。
3.“地震被災あり”と“なし”で対策実施率の差が大きい「風呂の水のためおき」
現在行っている災害対策について、“地震被災あり”は全般的に対策実施率が高く、特に「風呂の 水のためおき」の実施率は“被災経験なし”よりも18 ポイント高くなっていました。被災後の水が ないことによる苦労経験が、強く影響していると思われます。
4.“地震被災あり”は「ガソリン・灯油のストックをもつ」必要性を感じる割合が高い
現在できていないが取組むべきと思う災害対策について、「ガソリン・灯油の予備ストックをもつ」 をあげた割合が“被災経験なし”11%に対し、“地震被災あり”は18%と、その必要性を感じる割合 が高くなっていました。水同様に被災後途絶による苦労経験の影響が考えられます。できていない 対策という点では、水と比べてガソリン・灯油はストックが難しいという現状が読み取れます。
5.『太陽光発電搭載』住宅は、地震被災後のエネルギーに絡む苦労を軽減
エネルギーを自給する、太陽光発電の対災害効果をみてみました。地震被災後、苦労したことに ついて「ガソリン・灯油の入手困難」をあげたのが、住み始め時『太陽光発電未搭載』住宅57%に 対し、『搭載』住宅では49%と、苦労にあげた割合が8 ポイント低くなっていました。『搭載』住宅 は「停電などで自宅の電気が使えない」「寒い時期なのに、暖房機器が使えない」など、他のエネル ギー関連についても苦労にあげた割合が7 ポイント以上低く、住まいへの『太陽光発電搭載』は、 地震被災後の苦労軽減につながることが考えられます。
6. “地震被災あり”は『太陽光発電』『エコキュート・電気温水器(貯水タンクのある給湯器)』の 後付け設置率が高い
住み始めた時は未搭載だったが、後から設置したという後付け設置率について、太陽光発電は、“地 震被災あり”は“なし”と比べて9.3 ポイント高くなっていました。同様に、大容量の貯水タンク を備えた給湯器『エコキュート・電気温水器』は14.3 ポイント、2012 年頃から普及し始めた『家庭 用蓄電池』は僅かなものの、0.2 ポイント高くなっていました。このような自家発電や住まいの電化 設備は、省エネや光熱費削減だけではなく、災害時にライフラインが絶たれた時の対策としても、 災害経験者に支持されていることがわかりました。
今回の調査から、太陽光発電、貯水型給湯器、蓄電池は、災害によるライフラインが途絶した際 の居住者負担を軽減すると思われます。耐災害住宅では、こうしたライフラインを補完する設備の 設置により、機能強化を図る必要があると考えます。